Layered Little Press

小さすぎる出版社の日々の徒然です。

アジアに学ぶ大量調理のカレーレシピ 完全版(kindle)刊行に寄せて

 こんにちは‼旅人です。皆さんの応援のおかげで新刊も無事完成に漕ぎつけまして、一段落です。

 今回の本は実は、手書きの本では初のデジタル環境での作成でした。

 これまでの手書き本をそのまま電子書籍化すると、字が薄く読みづらいという指摘がありまして、また字が汚いとか、うまくまっすぐ書けないとか、色々と問題もありました。これは手書きがどうのこうのという話ではなく、私個人の問題ですね。ところがデジタル環境に移行することにより、今回これらの問題がきれいすっきり解決されました。ただこれは最初からこうしておけば良かったという話でもなく、多分今までの積み重ねがあったので、今回これでうまくいった部分が出てきたということだと思っています。私の能力自体はおそらくどこをとっても平均以下なうえ、私自身あんまり賢い部類でもないので、人より成長に時間がかかります。未だに人様に迷惑もかけてばかりですが、自分にできることというたらインド料理関連の本を書くくらいしかないということも分かってきたので、引き続き質の向上のための努力を怠らず、執筆を続けていきます。

 

 ところで、せっかくなので今回の執筆で大変だったことを書いてみたいと思います。デジタル環境だと、いくらでも消したり書いたりができるので、これもまたせっかくの機会だということで執筆途中から思い直し、ひらがな、カタカナ、漢字の書き方を一つずつ調べて書いてみることにしました。今までの人生でここまで日本語の文字と真剣に向き合ったことはなかったです。そうすると執筆に際し、意外な悩みが出てきました。

 

 ゲシュタルト崩壊です。

 

 これ、ふざけているわけではなく、本気なんですが、私はひらがなでゲシュタルト崩壊が起こりやすいようで、これにはかなり悩まされました。字を今まできれいに書くことを意識したことがなかったので、正直ひらがなの細かい注意点は覚えていませんでした。なので見本を見ながら一つずつひらがなを書いていくんですよ。当然、何回も消して書き直すんですが、そうしているとわりとすぐに崩壊が起こって、わけ分からんくなります。一回、”む”を書いているときにひどい崩壊が起こって、その時は頭痛と軽いめまい、ちょっと気持ち悪い…とここまでなるとは全く思いもしとらんかったんで、驚きました。人によって崩壊しやすい、しやすいくない、ひらがなに弱い、漢字に弱いなどはあるかもしれませんが、私はとにかくひらがなでした。”い”みたいにすごい簡単な文字でも崩壊は結構あっさり起こって、右と左の距離感が分からんくなったりするんですね。

 後はひらがなってすごい不思議な形をしとると思いましたし、書くのが単純に難しい文字やなと思いました。

 

個人的に難易度が高かったのがこの”ぬ”と”ね”の2つです。ひらがなの難しいところは、曲線が多く、しかも一画の中に注意点がいくつもあるところやなと思いました。この2つのひらがなはなかなかやばくて、二画目がかなり長いうえに大小異なるカーブとむすびのコンボときています。最初のコーナーに気を取られすぎて、次のコーナーでうまく曲がれんかったら最初から書き直しですから。それでやり直しのときにさっき失敗したところを意識すると、今度は最初のコーナーでまた失敗するんです。その繰り返しです。かなりの強敵でした。

 

 それとこの2つも個人的に、高難易度ひらがなランキングにぜひとも推したいと思います。”ゆ”と”ひ”です。絶妙に難しいうえにこの不思議な形。これでなんで”ゆ”、”ひ”って読むんですかね。これを一人で黙々と、成功するまで書き続けるんですよ。”ひ”は一画なんで簡単かと思いきや、ヘアピンカーブからの最後のカクッといく部分がめちゃくちゃ難しいんですよ。書き手の心を挫きます。しかも何書いとるか自分でも分からんくなっとる状態でこれを何十回と挑戦しました。”ひ”は一画で要素も一つですが、ずっと眺めよると意味分からんくなってきます。これもゲシュタルト崩壊なんでしょうかね。

 あとこれは崩壊の影響かどうか分かりませんが、ある朝起きたらスマホの画面ロック解除するパスワードが全く思い出せんくなったことがありました。私は数字8ケタで、一日に何度も入力するこの数字を忘れるわけないと思うんですが、その時は全く思い出せませんでした。8ケタ中4ケタは途中で思い出すことができたんですが、でもそれが前半の4ケタか後半の4ケタかが全く分からんくて呆然としました。本当に全く思い出せんのんで、なんも考えずに指の運びで反射的に!と思ってそれで試したら開いたんですが、それはそれで反射的なんで、今度は今自分がどの数字を押したかが分からんのんですよね。なので指の運びを一度記憶しなおして、それで押す数字をロック画面から読み取ってメモって、それで何とかなりました。半日で記憶もしっかり戻ったんですが、これは焦りましたwなんでも、人間の脳は疲れすぎると簡単な足し算引き算でもできんくなってしまうそうですね。崩壊は結構脳に負担がかかるんかもしれません。

 漢字についても、新しい漢字を書くたびに一つずつきちんと書き方を調べました。すると面白い発見がたくさんありましたし、思うとったんと形が違った漢字がけっこうあって、これにかなりびっくりしました。フォントによっても漢字の形は多少変わるので、不思議に思ったときはいろんなフォントで見比べることもしたんですが、それでも見事に思うとったんと違う漢字がいくつもありました。これもせっかくなんで、記憶と違った漢字ベスト3を紹介します。

 

”対”。これは右側がこんなに小さいと思いませんでした。右と左は同じ大きさと思うてました。全然違いました。

 

 

 ”向”。これはこのフォントではそうなっとらんのんですけど、三画目の縦はまっすぐ下じゃなくて、ほんの少しカーブして内側に入るんが正解だそうです。そんなこと学校で習いましたっけって思いました。

 

 

 ”豆”。これは五画目と、六画目ですね。どちらの斜め棒も、上と下はぴったり横棒にくっつくと思うてました。いつまでたっても信じられんくて、何回も調べなおしましたw

 

 

 それともう一つ。記憶と違うんは、見本を見て正せばええんですけど、中にはどれだけ見本を見てもきちんと書くんが難しかった漢字もありました。画数が多くて複雑な感じが必ずしも難しいわけじゃなく、見本を見ながらでもきれいに書くんが難しい漢字があるっていうことが面白かったです。最後に難しかったランキング1位と2位を紹介します。

 堂々1位。結局最後の最後まできちんと書くことができんくて、これだけは諦めました。新刊では2回か3回出てくると思います。探してみてください。いや、やっぱり探さないでください。

 

 2位。これも相当難しかったです。夜中の2時に遭遇してしまい、もう眠かったんでやっつけるのに相当な時間を使ってしまいました。ある程度きれいに書いたつもりですが、これ今から見本なしでもう一回きれいに書けって言われたら無理です。

 

 それではこれから年末に向けて、北インドおうちカレー 上・加筆修正版(Kindle)の作成を進めていきます。あ、最後にkindleの商品ページのリンクを貼っておきます。どうぞご活用ください!

 

〇アジアに学ぶ大量調理のカレーレシピ 完全版

https://www.amazon.co.jp/dp/B0DMFT29DR